給料から社会保険料を見極める!徹底ガイド
2024.03.28
給与計算
この記事では、給与計算における社会保険料の基本知識から、具体的な計算方法まで徹底解説します。
【 目 次 】
社会保険料の基本知識
社会保険には、健康保険、介護保険、年金保険の3つの種類があります。
健康保険は、従業員とその家族の医療費を補助し、病気や怪我で働けなくなった場合の給料も補填します。また、妊娠や出産に伴う休業時の手当も支給されます。
介護保険は、高齢者や障害者が必要とする介護サービスを支援し、自宅での介護や施設でのサービスが受けられるようになります。
年金保険は、働けなくなった高齢者や障害者、遺族に対し、一定の金額を支給することで生活を保障します。年金制度は、厚生年金と国民年金の2つがあります。
社会保険料は、給与から毎月徴収されるため、給与計算を行う上で、理解必須の制度です。
社会保険料の算出方法は、給与や賞与に基づいて計算されます。
給与は、厚生労働省が定める標準報酬月額に基づいて納付額が決まります。社会保険料の納付は、会社が納付するので、従業員が個別に手続きする必要はありません。
社会保険料を計算する際のポイント
社会保険料を計算する際のポイントは、次のような点に注意することが重要です。
- 標準報酬月額の確認
- 給与や賞与に応じた算出方法
- 会社と従業員の負担割合
これらのポイントを押さえ、正確な社会保険料を計算し、納付しなければなりません。また、社会保険制度の適用や適用除外、手続き方法についても、正確な知識が必要です。
- 標準報酬月額の役割と算出方法
健康保険、介護保険および厚生年金保険における「標準報酬月額」とは、被保険者が毎月受け取る給料などの報酬を、一定の範囲ごとに分類した金額です。
健康保険、介護保険の標準報酬月額は、第1級の58,000円から第50級の1,390,000円までの全50等級にわたって区分されており、具体的な保険料額は都道府県ごとに異なります。
厚生年金保険の標準報酬月額は、第1級の88,000円から第32級の650,000円までの全32等級にわたって区分されており、具体的な保険料額は都道府県ごとに異なります。
標準報酬の対象となる報酬には、基本給だけでなく、役付手当や勤務地手当、家族手当、通勤手当、住宅手当、残業手当など、労働の対価として事業主から支給される現金や現物が含まれます。また、年4回以上支給される賞与も標準報酬月額の対象に含まれます。
また、「標準賞与額」とは、税引前の賞与総額から千円未満を切り捨てて算出される金額で、健康保険、介護保険では年度の累計額の上限が573万円、厚生年金保険では1ヶ月あたりの上限が150万円と設定されています。
これらの金額を基にして、保険料や保険給付の額が計算されます。
標準報酬月額の算出方法は、次のように決定されます。
・資格取得時の決定: 被保険者が資格を取得した時の報酬に基づき、一定の方法で報酬月額を決定 します。この報酬月額は、資格取得月からその年の8月まで(6月1日から12月31日に資格を取得した場合は、翌年の8月まで)適用されます。
・定時決定: 毎年7月1日時点での事業所で、直前の3カ月間(4月、5月、6月)に受けた報酬総額をその期間の総月数で割り、得た額を報酬月額としています。この決定は、9月から翌年8月までの各月に適用されます。
・随時改定: 報酬が昇給や降給等で変動し、継続した3カ月間に受けた報酬総額を3で割った額が以前の標準報酬と著しく異なる場合、厚生労働大臣が改定することがあります。
・育児休業等終了時の改定: 被保険者からの届出に基づき、育児休業等の終了日の翌日が属する月から3カ月間の報酬平均額に基づき、翌月から新しい標準報酬月額に改定します。
・保険者決定: 以下のいずれかに該当する場合、厚生労働大臣が算定する額を報酬月額として標準報酬月額を決定(改定)します。
・資格取得時の決定方法での算定が困難な場合
・定時決定の方法での算定が困難な場合
・資格取得時の算定額が著しく不当な場合
・定時決定の算定額が著しく不当な場合
・随時改定の算定額が著しく不当な場合
・一時帰休による変動があった場合
このように、標準報酬月額の算出方法は、被保険者の状況に応じて多様なケースに対応しています。これにより、公平かつ適切な保険料の算出が可能となります。 - 社会保険料負担割合と事業主と従業員の負担額
社会保険料の負担割合は、事業主と従業員間で折半されます。
具体的な負担額は、標準報酬月額、標準賞与額に各保険料率を適用して計算されます。
社会保険料率が改定されるタイミングと影響
社会保険料率は、定期的に改定されます。
社会保険料が改定されると、事業主と従業員の負担額が変わります。
改定情報は、厚生労働省の公式ウェブサイトや新聞等で公表されますので、事業主および給与担当者は最新情報をチェックし、必要に応じて迅速に対応することが重要です。
- 健康保険料・介護保険料率の改定
毎年2月頃に健康保険料および介護保険料の更新改定が発表され、3月分(4月納付分)から変更が適用されます。 - 厚生年金保険料率の改定
厚生年金保険料率は過去に毎年9月分より改定されていました。しかし、年金制度の改正に従い、2004年から段階的に引き上げられた後、2017年9月をもって引き上げが終了し、以降は「18.3%」で固定されています。 - 改定に伴う事業主と従業員への影響
社会保険料率の改定に伴う影響は、事業主と従業員双方に及びます。
事業主にとって、社会保険料の納付額が増減することで、経営負担が変わります。一方、従業員にとっては、手取り給与が減少したり、給与からの控除額が増加する可能性があります。
事業主は、従業員に対して社会保険料の変更内容や影響を説明し、理解を深めることが大切です。
効率的な社会保険料計算の活用方法
- 給与計算ソフトでの社会保険料計算の効率化
給与計算ソフトを利用することで、社会保険料計算の効率化が図れます。ソフトには、標準報酬月額の算出や保険料率の適用が簡単にできる機能が備わっており、労働者一人ひとりの保険料を自動で計算してくれるものもあります。
さらに、賞与支給時の社会保険料計算など、複雑な計算も短時間で処理できるため、労働時間の削減が期待できます。
また、定期的な法改正や保険料率の改定にも柔軟に対応し、常に最新の情報で計算が可能なソフトもあります。 - 社会保険手続きの外注の紹介
社会保険手続きの外注も業務効率化のための重要な方法です。
社会保険労務士事務所が提供する外注サービスは、厚生年金、健康保険、介護保険の加入や脱退、資格取得等の 手続きを簡単かつ迅速に行うことができます。
また、労働保険の適用や解除、事業所の開設・閉鎖などの届出も依頼できるため、手間や時間の削減が図れます。
外注の利用により、確実な手続きと効率化が実現し、企業の業務負担を軽減できます。
まとめ
社会保険料計算のポイントは、正確な計算と効率化です。
給与計算ソフトでの自動化や社会保険労務士事務所のサービス活用が効果的です。これにより、負担を軽減し、企業の業務を円滑に進めることができます。
給与計算でお困りの方は、お気軽にご相談ください。
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