【徹底解説】小規模企業が給与計算のアウトソーシング・外注を検討する際に抑えるべき5つのチェックポイント

2023.05.09

給与計算

 
松林 大樹 コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。

従業員数20人未満の小規模企業においては、経営者以外の従業員に各人の給与金額が知れることによって、問題が発生する可能性から、経営者が給与計算を担当する必要があります。
毎月従業員の給与計算業務に多大な時間や労力が必要となるため、アウトソーシング・外注を検討することが、最近のトレンドとなっています。
しかし、アウトソーシング・外注を依頼する前に、必ず抑えておくべき5つのチェックポイントがあり、十分に検討しないまま依頼をすると、想定していた以上に会社に負担が残ってしまう失敗例もよくあります。
本記事では、小規模な会社の給与計算業務においてアウトソーシング・外注を検討する際に抑えるべき5つのチェックポイントを徹底解説します。

【 目 次 】

  1. 給与計算業務とは?
  2. 給与計算のアウトソーシング・外注先に頼めることとは?どこまで頼むのか?
  3. 小規模企業で給与計算のアウトソーシング・外注のメリット
  4. 小規模企業で給与計算のアウトソーシング・外注のデメリット
  5. 給与計算のアウトソーシング・外注を依頼できる企業と特徴?

給与計算業務とは?

給与計算業務には、以下の業務があります。

  • 従業員の出退勤記録の確認と集計
    ・出退勤の時刻管理。
    ・打刻漏れ、打刻ミスの確認。
    ・労働時間、残業時間、休日出勤時間、深夜労働時間の集計。
  • 社会保険料、所得税、住民税等の変更内容の確認
    料率の変更や法改正、定期的な住民税額の変更など金額の変更の有無を確認し、計算ソフトに反映させます。
  • 新たに入社、退職、住所変更や異動の有無の確認
  • 労働時間から、各種手当や控除などを適用し、給与計算
  • 給与振込手続き
    ・銀行への振込依頼
  • 給与明細書の作成・封入
  • 社会保険料の変更等申請書の作成

給与計算のアウトソーシング・外注先に頼めることとは?
どこまで頼むのか?

工程可否 備考
1.従業員の出退勤記録の確認と集計・出退勤が正しいかの確認は自社で行う必要ある。
・正しく設定されたクラウド勤怠管理システムを使うことで集計の自動化を行うことは可能。
2.社会保険料、所得税、住民税等の変更内容の確認・税理士や社会保険労務士へ依頼することで手続きから変更内容の給与への反映まで対応できる。
3.新たに入社、退職、住所変更や異動の有無の確認
4.労働時間から、各種手当や控除などを適用し、給与計算
5.給与振込手続き・銀行振込用のデータの作成までは依頼できるが、実際の振込作業は自社で行う必要がある。
・全銀システムを利用することで、振込用のデータ作成まで依頼することで、ほぼ時間と手間はかからなくなる。
6.給与明細書の作成・封入・WEB明細を利用することで、手渡しの時間もカットできる。
7.社会保険料の変更等申請書の作成・社会保険労務士に依頼することで、給与計算後、社会保険料の月額変更等の手続きが発生するかの確認や、手続き作成まで依頼できる。

小規模企業で給与計算のアウトソーシング・外注のメリット

  • 経営者の時間の節約
    従業員20人未満のクリニックや歯科医院、製造業などの経営者は実務から経営まで全てをこなさないといけない。売上(生産性)を最大化するために、経営者の時間を最大限空けることが重要になってきます。
  • ストレス削減
    毎月決まった期日に給与計算を行わないといけないことや、誤りがあってはいけない給与計算業務を外部に依頼することでストレス削減に繋がります。
  • 法改正や、制度変更、情報収集、ソフトの仕様変更等の対応が不必要
    法律や料率、金額の変更は、年に何度も発生します。その情報をタイムリーにキャッチし、情報を保管することは専門家でない経営者には容易ではありません。
  • トータルコストの削減
    人的コスト、システムコストが削減されます。

小規模企業で給与計算のアウトソーシング・外注のデメリット

  • 費用がかかる。
  • 依頼する業者によって、依頼できる範囲や正確性、やり方に違いがあり、わかりづらい。

給与計算のアウトソーシング・外注を依頼できる企業と特徴?

業者種類特徴
税理士税金の計算や代行など税金の専門家。社会保険の手続きは出来ない。

〇年末調整も依頼できる。
社会保険労務士社会保険や労働保険など、会社の公的保険の専門家。年末調整は出来ない。

〇社会保険手続き、労働保険手続きも依頼できる。
BPO会社・オンライン秘書アウトソーシングをメインに行う会社。年末調整、社会保険手続きは代行できない。

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