初めて人を雇う!手続きから労務管理まで徹底解説

2024.03.08

就業規則

 
松林 大樹 コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。

初めて人を雇う際には、数々の手続きや労務管理が必要です。
この記事では、初めて従業員を雇用する企業や個人事業主のために、採用前のチェックポイントから労働基準法に基づいた労働条件、雇用形態や助成金の活用方法まで、徹底的に解説します。
また、手続きが必要な書類や法律、労務管理のポイントも網羅しています。
人事管理や労働トラブルの予防・対応策についても触れています。
さらに、社労士の利用方法や無料などのサービス、労働局の利用方法についても解説。
これから従業員を採用する予定の方は、ぜひ本記事を参考にして、労働者に働きやすい環境を整えるとともに、トラブルを未然に防ぐために知っておくべきポイントを得ることができます。

【 目 次 】

  1. 初めて人を雇う際の重要なポイント
  2. 採用前のチェックポイント
  3. 労働基準法に沿った労働条件
  4. 雇用形態とそれぞれの特徴
  5. 助成金や補助金の活用方法
  6. 従業員に提出してもらう書類
  7. 社会保険や労働保険の手続き方法
  8. 税金の申告と記録関連の手続き
  9. 労務管理と社内規則の設定
  10. 人事管理と労務管理のポイント
  11. 働きやすい環境の整備
  12. 社員の評価や昇給・昇格制度
  13. 労働トラブルの予防と対応策
  14. 社労士や労働基準監督署の利用方法
  15. 社労士に依頼するメリット・デメリット
  16. まとめ

初めて人を雇う際の重要なポイント

初めて従業員を雇う際、事業主には様々な責任が伴います。重要なポイントは以下の通りです。

– 適切な労働条件の設定
– 労働法に基づく手続きの完了
– 社会保険や厚生年金への加入手続き
– 給与計算と賃金の適切な支払い
– 労働時間や休日の管理
– 労働災害保険・雇用保険・社会保険への加入手続き
– 労働条件通知書(雇用契約書)の作成と締結

これら一連の手続きは厚生労働省やハローワークに対応する法令に則り遵守する必要があります。不適切な手続きや労働条件は労働トラブルや罰則の対象となりますので、注意が必要です。
労務や労働法に関する専門家と相談し、適切な手続きや条件を整えることが重要です。

採用前のチェックポイント

採用前にチェックすべきポイントは以下の通りです。

– 求職者のスキルや経験が業務に適合しているか
– 雇用形態(正社員、アルバイト等)の選択
– 労働契約の期間と更新条件
– 労働時間と休日の設定
– 給与や賞与の計算方法
– 社会保険や厚生年金への加入義務の確認

これらのポイントを確認し、適切な雇用条件を設定することで、労働トラブルを未然に防ぐことができます。また、有益な助成金制度を活用することで、採用コストを軽減できる場合があります。

労働基準法に沿った労働条件

労働基準法は労働者の権利と企業の責任を定めており、雇用主は以下の労働条件を遵守する必要があります。

– 最低賃金の遵守
– 時間外労働や休日労働に対する割増賃金の支払い
– 労働時間の上限(1日8時間、週40時間)の遵守
– 週1日以上の休日の確保
– 有給休暇の設定
– 労働者の安全衛生管理

これらの労働条件は企業における人事や労務において不可欠であり、適切な労働環境の整備に繋がります。違反が発覚した場合、罰則が科されることがありますので、法令を遵守し、従業員に適切な労働条件を提供することが重要です。

雇用形態とそれぞれの特徴

雇用形態には、正社員、アルバイト、パートタイム、派遣社員、契約社員などがあります。それぞれの特徴は以下の通りです。

– 正社員: 長期的な雇用で安定した給与が支払われ、厚生労働保険や雇用保険、年金等に加入が義務付けられています。また、社会保険が適用されます。

– アルバイト・パートタイマー: 短期間の雇用やシフト制で働くことが一般的で、労働時間に応じた時給制が主であり、社会保険が適用されない場合があります。

– 派遣社員: 人材派遣会社に雇用され、派遣先で就業する形態です。給与などの支払いや、社会保険の加入は派遣会社で行います。

– 契約社員: 一定期間の雇用契約によって働く形態で、契約期間が終了すると雇用が終了します。

雇用形態を選択する際には、労働条件や企業のニーズ、労働者の希望やライフスタイルに応じて適切な形態を選ぶことが重要です。

助成金や補助金の活用方法

助成金や補助金は、新規事業を開始する際や既存事業の拡大・改善を図る際に、事業者が政府機関から受ける金銭的支援です。以下は助成金や補助金の活用方法です。

– 助成金や補助金の対象となる事業の選定
– 助成金や補助金の申請方法や提出書類の確認
– 助成金や補助金の利用条件や実施期間についての確認
– 担当する窓口への相談やサポートを受ける

助成金や補助金を活用するためには、適用条件や申請手続きに注意し、適切な時期に申請することが重要です。

従業員に提出してもらう書類

一般的に従業員に提出してもらう書類には、以下が含まれます。

– 履歴書: 採用面接において、個人の経歴や能力を把握するために提出を求めます。
– 資格証明書: 特定の資格やスキルを持っていることを証明するものです。
– 給与振込先の通帳: 給与振込先となる銀行口座を確認するために提出が必要です。
– 誓約書:秘密保持などをしないよう約束してもらうために提出を求めます。
– 住民票記載事項証明書:身分証明のために提出を求めます。
– マイナンバー

これらの書類は、雇用契約の締結や給与計算、労働条件の確認などに使用されます。

社会保険や労働保険の手続き方法

社会保険や労働保険は、会社が従業員のために手続きする必要がある業務の一つです。
社会保険には健康保険と介護保険、厚生年金保険があり、労働保険には労災保険と雇用保険が含まれています。
手続き方法は、まず保険適用の対象となる従業員がいるかどうかを確認し、適用対象者がいる場合は各保険の手続きを行います。各保険の手続きには、書類の提出や加入申請、必要書類の記載や提出が求められます。
労働保険料の計算や徴収も重要な業務で、雇用保険料の額は給与から控除されます。
また、従業員の年金加入や社会保険の手続きは、会社が行うことが一般的です。
労働保険や社会保険の手続きは煩雑なため、労務管理の専門家である社会保険労務士に依頼することも多いです。
労務管理サービスや支援サービスを利用することで、労働保険や社会保険の手続きがスムーズにいくことが期待できます。

税金の申告と記録関連の手続き

経営者は税金に関する手続きも行う必要があります。
税金の申告には、所得税や法人税、消費税、住民税などがあります。適切な手続きが必要で、誤った申告や手続きがあると罰則が適用される場合があります。
税金の申告には、正確な収支や税額を計算し、税務署に提出する書類が必要です。記録関連の手続きでは、適切な会計帳簿の作成や管理が求められます。
会計帳簿には、売上高や経費、利益などの情報が記載されるため、正確な記録が求められます。税法に基づく適切な記録管理を行うことで、税務調査や税務上のトラブルを防ぐことができます。
税金の申告と記録関連の手続きは専門知識が必要であり、税理士に依頼することが一般的です。専門家の支援を受けることで、適切な税金の申告や記録管理ができると考えられます。

労務管理と社内規則の設定

企業において労務管理は重要な役割を担っており、従業員の採用から退職までの様々な手続きや業務を適切に行うことが求められます。また、適切な労務管理のためには、社内規則の設定が必要です。
社内規則は、労働条件や就業規則、給与計算や休暇制度など、従業員に適用される様々な事項を定めたものです。適切な社内規則は、労働法に基づいて整備され、従業員に適切な労働環境を提供することが求められます。
具体的には、就業時間や休憩時間、休日や有給休暇の制度、給与の計算基準や賞与の支給、労働安全に関する規定が含まれることが一般的です。
労務管理や社内規則の設定は、従業員の満足度向上やトラブル防止、企業の経営効果の向上に繋がります。適切な労務管理と社内規則設定には、労働法や労働基準法を順守し、労働法専門家である社会保険労務士の支援を活用することが推奨されます。

人事管理と労務管理のポイント

人事管理と労務管理には、労働条件の確保、法令順守、効率的な業務運営、働きやすい環境の整備、社員評価など様々なポイントが存在します。
労働条件の確保では、労働時間や賃金、休日などの基本事項を適切に管理し、遵守していくことが重要です。また、労働基準法や労働契約法などの法令順守も必要であり、労働監督署やハローワークとの連携を図りながら、労働者の権利を保護していくことが求められます。
効率的な業務運営には、人材配置や労働力の適正な調整が欠かせません。
これにより、社員が持続的に働きやすい環境が整い、社員の評価や昇給・昇格制度を適切に運用することで、働く意欲を高めることができます。
また、社会保険や厚生年金などの手続きも適切に行い、従業員の福利厚生を充実させることが重要です。

働きやすい環境の整備

働きやすい環境を整備するためには、まず適切な労働条件を設定し、労働時間や賃金、休日の管理が重要です。また、労働者の健康と安全に配慮した職場環境を提供し、労災の防止や健康診断を適切に実施することが求められます。さらに、職場内でのコミュニケーションを促進し、トラブルや不満が発生しないよう努めることも大切です。労働者が働きやすい環境が整うことで、生産性向上や離職率低下など、企業にとってもメリットが大きくなります。

社員の評価や昇給・昇格制度

社員の評価や昇給・昇格制度は、企業の成長と従業員のモチベーション向上に繋がるポイントです。評価制度は、公平で透明性のあるものにすることで、従業員が働く意欲を持ち続けることができます。昇給・昇格制度は、従業員のスキルアップやキャリアアップを促し、企業の競争力を高める要素となります。
評価基準は業務遂行能力や人間性、チームワークなど様々な視点から設定し、定期的な面談やフィードバックを行いましょう。また、昇給・昇格制度は明確な基準を設け、従業員の努力が報われるように運用することが大切です。

労働トラブルの予防と対応策

労働トラブルを防ぐためには、まず適切な人事管理と労働条件を整えることが重要です。具体的には以下の点に注意が必要です。

– 労働契約書の作成:労働者との契約内容を明文化し、書面で交わす
– 労働時間の管理:労働時間や休憩時間、休日を把握し、過度な時間外、休日労働を行わないようにする。
– 賃金の適正な支払:賃金、手当、賞与などの適正な支払いを行う。

また、労働トラブルが発生した場合の対応策としては次の方法が考えられます。

– 事業主と労働者の双方で円満な解決を目指す
– 労働局や社労士などの専門機関に相談する。
– 法的手段を用いて解決を図る(労働審判や裁判所)

労働トラブルを未然に防ぐためにも、企業は労働法規に基づく適切な対応が求められます。

社労士や労働基準監督署の利用方法

社労士や労働基準監督署は労働トラブルに関する相談窓口として利用できます。
社労士は、人事労務に関する専門家であり、トラブルの解決や労働法令の遵守に関するアドバイスが得られます。
労働基準監督署では無料で相談でき、法令遵守やトラブル解決のための指導やアドバイスを提供します。
一方、社労士に依頼する場合は、専門的なサービスを利用するため、費用がかかります。しかし、その分詳細な対応や手続きのサポートを受けられるため、効果的な解決が期待できます。

社労士に依頼するメリット・デメリット

社労士に依頼するメリットは以下の通りです。

– 労働法令に関する専門的な知識、経験を持っている。
– 事業主と労働者双方に対して公平な立場でアドバイスが可能である。
– 労働局など公的機関と連携して円満な解決を図れる。

一方、デメリットは次のようになります。

– 費用がかかる。
– 依頼内容によっては対応できない場合もある。

状況に応じて社労士の利用を検討し、労働トラブルの解決を目指しましょう。

まとめ

初めて人を雇う際には、労働条件の遵守、適切な人事労務管理が重要です。
また、労働トラブルが発生した場合には、社労士や労働局を利用して適切な対応を取ることが求められます。
コステム社会保険労務士事務所では、求人票の作成支援から、はじめて人を雇う場合の事前準備、保険手続き、給与計算、労務トラブル対応まで事業活動を支援しています。
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