パワハラ対策完全ガイド:定義・事例・相談窓口まで
2024.03.14
ハラスメント
パワハラ防止法がどの企業でも施行され、年数が経過しましたが、パワハラ問題は、日増しに深刻化しています。
本記事では、パワハラの定義や事例、相談窓口について網羅的に解説します。
この記事を参考に、あなたも職場環境の改善に役立ててください。
【 目 次 】
- パワハラの現状:増加傾向とその背景
- パワハラの定義と種類:6つの類型
- パワハラの発生状況:職場での割合と対象者
- パワハラ防止法と対策:企業が取り組むべき内容
- 自分がパワハラ被害者の場合:対処法と相談窓口
- パワハラ加害者への対応:指導方法と処分
- まとめ
パワハラの現状:増加傾向とその背景
近年、パワハラ(パワーハラスメント)が職場での深刻な問題となっており、厚生労働省から公表されている令和4年度個別労働紛争解決制度の施行状況によると、個別労働相談件数は15年連続で100万件を超え、紛争の内容は、いじめ・嫌がらせなどハラスメントに関する相談件数が最多となり、年々増加しています。
これは、労働者の意識の変化や、企業での研修や相談窓口などのハラスメント対策強化、インターネットの普及による情報量の増大を受けて、被害者が声をあげやすい環境になったことが一因とされます。パワハラが増える原因は、様々な要素が絡み合っているといわれています。
①労働環境が厳しくなる中で、上司が部下に対して過大な要求をすることがあげられます。
②働き方改革が進み、生産性が求められ、時間の余裕がなくなる中で、意思疎通がうまくいかない場
合、上司が部下を無視するなどの行為が発生することがあります。
③上司が指導力不足で適切な指導ができず、部下が業務に対処できない状況が生じることも原因の一つ
です。
上記のような状況が重なることで、職場のストレスが高まり、パワハラ行為が増えることとなります。企業は適切な人事管理や研修制度、働きやすい環境を整えることで、労働者が安心して働ける職場を実現し、パワハラ防止に取り組むべきです。
パワハラの定義と種類:6つの類型
パワハラは職場環境において問題となる行為であり、上司や同僚との関係が深く影響を受けます。
パワハラは身体や精神への悪影響が大きく、企業や社会全体にも悪影響を与えます。
具体的なパワハラの定義は、「職場において、優位的な地位や人間関係を利用した精神的・身体的苦痛を与える言動で、労働者の人格や尊厳を侵害する行為」とされています。
この定義に基づき、様々な背景や状況に応じて、企業や従業員は適切な対処や防止策を講じることが求められます。
パワハラの具体的な行為は多岐にわたり、以下の6つの類型に分類されています。
-過大な要求:業務範囲外や能力を超えた仕事の依頼
-過小な要求:従業員の能力を無視した簡単な仕事のみを与える
-人間関係からの切り離し:職場内での会話や情報共有から排除する
-個の侵害:過剰な個人へのかかわり
-精神的な攻撃。侮辱や恫喝:従業員の地位や評価に関わる言動で嫌がらせる
-暴力や身体的な攻撃:身体的苦痛や危害を加える行為
これらのパワハラ行為への対処や防止には、個々の事例や状況に応じた対策が必要です。
パワハラの発生状況:職場での割合と対象者
職場でのパワハラ発生割合について、厚生労働省の実態調査によれば、約30%の労働者が何らかのパワハラを受けたことがあると報告されています。(令和2年度 厚生労働省 職場のハラスメントに関する実態調査)
パワハラの対象となる人間関係は、上司や部下だけでなく、同僚間でも発生することがあります。パワハラは主に、優位的な地位や立場を利用した嫌がらせや過大な要求、無視や侮辱などの行為が含まれます。
これらの行為が繰り返されることで、被害者は精神的苦痛を感じるなどの問題が発生します。
職場の状況によっては、部下同士や同僚間でパワハラが起こることもあります。
従業員がストレスを感じている場合や、競争意識が強い職場での嫌がらせが特に問題となります。
企業は、労働者の人間関係や環境を適切に管理し、パワハラの防止や解決に努めることが重要です。
パワハラ防止法と対策:企業が取り組むべき内容
企業は、労働者の雇用環境や精神的健康を保護するため、厚生労働省が定めたパワハラ防止法に従い、従業員に適正な労働環境を提供する義務があります。
パワハラ防止法は、労働者の労働環境を向上させ、就業状況を改善することを目的としています。
企業は従業員に対して教育や研修を実施し、パワハラの防止に努めることが求められています。
さらに、パワハラ行為を禁止し、嫌がらせや侮辱などの問題行動に対して迅速かつ適切な対応を取ることへの周知や対応が求められています。
企業が取り組むべき具体的なパワハラ防止対策には以下のようなものがあります。
– 社員一人ひとりがパワハラの定義や背景、対策に関する知識を持ち、それに基づいて適切な行動を取ること
– 管理職、労働者に対して定期的にパワハラ対策研修を実施し、法律や対応策についての理解を深めること
– 上司や部下、同僚間でのコミュニケーションを推奨し、オープンな職場環境を作ること
– 従業員が相談できるパワハラの相談窓口を設置し、専門家による適切な対応を行うこと
– 労働者からの報告や相談があった際に、迅速かつ適切な対応を行い、再発防止策を立案すること
企業はパワハラ防止対策を継続的に実施し、従業員の健全な労働環境の確保に努めることが、社会全体の向上にも繋がる重要な要素です。
自分がパワハラ被害者の場合:対処法と相談窓口
パワハラ被害を受けた場合、対処法と相談窓口が重要になります。
対処法には、自己防衛策や証拠収集、会社内での報告、そして法的手段があります。
パワハラ被害者として一番重要な対処法は、自分の心身の安全を守ることです。
証拠を収集し、日記やメモ、録音、同僚からの情報を活用して具体的な行為や言動を記録しましょう。
会社内での報告は、相談窓口、上司や人事部に相談することが一般的ですが、信頼できる同僚や労働組合も頼りになる場合があります。
パワハラ防止法が施行され、企業規模や業種に関係なくパワハラ相談窓口の設置が、義務付けられました。
パワハラ加害者への対応:指導方法と処分
パワハラ加害者への対応には、適切な指導方法が重要であり、場合によっては会社による処分も必要となります。
パワハラ加害者への指導方法として、以下の点が挙げられます。
– まずは、加害者にパワハラ行為についての認識を促すことが大切です。
適切な研修や教育を実施し、パワハラの定義やその影響について理解を深めさせることが重要です。
– 次に、加害者に自身の行為を振り返らせることが求められます。具体的な事例を挙げ、どのような言
動が問題となっているのかを具体的に伝えることが効果的です。
– さらに、加害者と被害者双方の立場を尊重し、適切なコミュニケーションを促すことが必要です。相
手の立場や感情を理解し、尊重する姿勢を身につけさせましょう。
– 最後に、定期的なフォローアップと評価を実施し、加害者の改善状況を確認することが重要です。状
況に応じて、研修やフォローアップを繰り返し行い、持続的な改善を目指しましょう。
パワハラ加害者に対する会社の処分は、以下のような形で行われます。
– まず、加害者の行為がパワハラに該当するかどうかを厳密に調査し、事実関係を確認します。
– 確認された事例によっては、加害者に対して厳重注意や戒告の措置を行います。
– 重大なパワハラ事例の場合や改善が見られない場合、加害者に対して人事異動や昇進停止、減給、解
雇などの処分を就業規則で定めた懲戒に基づいて行うことがあります。
– また、会社としてはパワハラ防止対策を継続的に実施し、職場環境の改善に取り組むことが求められます。
まとめ
パワハラを防ぐためには、加害者への指導や処分だけでなく、職場全体で取り組む総合的対策が重要です。具体的には、職場環境の改善、コミュニケーション能力の向上、適切な指導や研修の実施、定期的なフォローアップなどが求められます。
コステム社会保険労務士事務所では、パワハラ防止規程の策定から、従業員の外部相談窓口、管理職パワハラ研修まで総合的に企業のパワハラ防止対策を支援しています。
パワハラ対策でお困りの企業担当者の方は、まずはお気軽にご相談ください。
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