パート・アルバイトの有給休暇の実態

2024.03.13

有給休暇

 
松林 大樹 コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。

パート・アルバイトも有給休暇を取得する権利がありますが、その条件や方法を知っておくことがパート・アルバイトの労務管理上重要です。
本記事では、有給休暇に関する基本情報から、労働者と企業が円滑に運営するためのポイントまでを解説します。
記事を参考に、労働者が円滑に有給休暇を取得できる環境を整えることができます。
知っておくべきポイントを押さえた本記事は、パート・アルバイトの労働環境改善に役立ちます。

【 目 次 】

  1. パート・アルバイトも有給休暇を取得できる条件
  2. 有給休暇の付与日数・計算方法
  3. 休暇の取得方法についての解説
  4. 有給休暇取得時の賃金計算・保障
  5. 従業員の有給休暇取得率をあげる方法
  6. まとめ

パート・アルバイトも有給休暇を取得できる条件

労働基準法により、労働者は一定の勤務期間を経た後、有給休暇を取得できます。この権利は正社員だけでなく、パート・アルバイトも対象となります。
労働基準法第39条において、有給休暇の権利が定められており、パート・アルバイトが取得できる条件は以下の通りです。

– 労働契約が継続して6ヶ月以上
– 過去6ヶ月間の所定労働日数が80%以上出勤

これらの条件を満たすパート・アルバイトは、労働基準法に基づく有給休暇の権利を享受できます。
例えば、週3日勤務のアルバイトは、半年間で約78日の所定労働日となり、そのうち約63日以上出勤すれば、有給休暇の権利が発生します。
実際に有給休暇を利用する場合、企業の規定に従って事前に申請し、承認を得ることが必要です。また、所定労働日数や出勤状況を確認するため、会社は勤怠管理を適切に行うことが求められます。

有給休暇の付与日数・計算方法

労働基準法により、有給休暇の付与日数は勤続年数に応じて決まります。

– 勤続6ヶ月後: 10日
– 勤続1年6ヶ月後: 11日
– 勤続2年6ヶ月後: 12日
– 勤続3年6ヶ月後: 14日
– 勤続4年6ヶ月後: 16日
– 勤続5年6ヶ月後: 18日
– 勤続6年6ヶ月後以降: 20日

一方、所定労働日数が正社員に比べ少ないパート・アルバイトの有給休暇の付与日数は、上記の日数を按分比例し、下記のように付与されます。

週所定労働日数1年間の所定労働日数勤続年数
6ヶ月1年6ヶ月2年6ヶ月3年6ヶ月4年6ヶ月5年6ヶ月6年6ヶ月以上
4日169日から216日7日8日9日10日12日13日15日
3日121日から168日5日6日6日8日9日10日11日
2日73日から120日3日4日4日5日6日6日7日
1日48日から72日1日2日2日2日2日3日3日


週の所定労働時間が30時間以上、所定労働日数が週5日以上のパート・アルバイト、または1年間の所定労働日数が217日以上のパート・アルバイトには、正社員と同じ日数が付与されます。

休暇の取得方法についての解説

休暇の取得方法には、まず会社に休暇申請を行い、承認を受ける必要があります。
さらに、法律で定められた休暇取得期間や方法を守ることが重要です。例えば、労働基準法では、年次有給休暇の取得期間を原則として付与から2年間と定めています。企業はパート・アルバイトに有給休暇を与える義務があり、その遵守状況が労働監督署等からチェックされる場合もあります。

有給休暇取得時の賃金計算

有給休暇取得時の賃金計算方法は、労働基準法によって定められており、原則、休暇取得期間中には、通常の所定労働時間働いた賃金が支払われることが定められています。
また、通常勤務している場合、基本給以外に、資格手当や役職手当など特定の手当などが払われる企業もありますが、こちらの手当も、通常と同じく有給休暇の対象となります。
企業は、就業規則で賃金計算方法を明確化し、従業員に対して周知する必要があります。

従業員の有給休暇取得率をあげる方法

人口減少が進んでいる日本で、業種や規模関係なく人手不足が進み、売り手市場が続いていますし、今後も続くといわれています。
そんな時に、有給休暇の取得率の高さは、求職者が会社を選ぶ重要な指標の一つといわれています。
従業員の有給休暇取得率をあげる方法としては、業務の俗人化を出来る限りなくし、誰でも休める環境づくりを行うことです。
日頃からの顧客との情報の共有化、メールなど通信手段の共有化などを進めることで、業務の俗人化をなくすることが出来ます。

まとめ

パート・アルバイトの有給休暇知識を活かして働き方を改善することで、従業員の働きやすさと企業の業務効率が向上し、双方にとって良い結果を生み出すことができます。
有給休暇の管理方法や、仕組むづくりについてのさらに詳しい情報については、お気軽にコステム社会保険労務士事務所までお問合せください。

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