欠勤控除の正しい給与計算?考え方から端数処理の方法まで解説

2023.02.13

給与計算

 
松林 大樹 コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。

正社員が突然の病気などで、欠勤や遅刻、早退することがあります。欠勤や遅刻、早退に対する欠勤控除の計算方法は、法律で決められていませんが、一般的な計算方法があり、また間違えやすいポイントもあります。
ここでは、欠勤控除の考え方から、計算方法、端数処理まで解説します。

【 目 次 】

  1. 控除対象の欠勤とは?
  2. 欠勤控除されない日は?
  3. 欠勤控除の計算方法は?
  4. 対象となる給与(手当)は?
  5. 日数の決め方は?
  6. 端数の処理
  7. 遅刻・早退の控除額の計算方法

控除対象の欠勤とは?

控除対象の欠勤とは、従業員が病気などで欠勤し、給与から控除される日を指します。例えば、家族の看病のために休職する場合や、休暇を取得する場合などが該当し、一般的には、就業規則に記載があります。

欠勤控除されない日は?

会社を休んでも欠勤控除の対象とならない日もあります。まず、有給休暇を取得した日は欠勤控除の対象にはなりません。次に、会社都合による休業の場合も、欠勤控除の対象とはなりません。このような場合は、休んだ日数に関係なく、賃金が全額支払われます。

欠勤控除の計算方法は?

欠勤控除の計算方法は、
1 対象となる給与(手当) ÷ 日数 を
2 欠勤した日数分を給与から減算する。

対象となる給与(手当)は?

対象となる給与(手当)に、基本給以外の手当のうち、どこまでを計算の対象に含めるのか?を決める必要があります。一般的には就業規則や賃金規程に記載があります。

日数の決め方は?

日数の決め方は下記の3種類あり、こちらも一般的には就業規則や賃金規程に記載があります。

①その月の所定労働日数②月の平均所定労働日数③暦日日数

次の例で、それぞれの計算方法を説明します。
・対象となる給与:200,000円
・その月の所定労働日数 22日
・月の平均所定労働日数 20日
・月の歴日日数 31日
・欠勤日数 4日
・出勤日数 18日

①その月の所定労働日数 方式の場合

200,000円÷22日=9,090円(端数切捨て)
9,090円×欠勤日数4日=36,360円 が欠勤控除額になります。

②月の平均所定労働日数 方式の場合

200,000円÷20日=10,000円
10,000円×欠勤日数4日=40,000円 が欠勤控除額になります。

③暦日日数 方式の場合

200,000円÷31日=6,451円
6,451円×欠勤日数4日=25,804円 が欠勤控除額になります。

端数の処理

控除額を計算する際に小数点以下の端数の扱いを検討する必要があります。
一般的には、端数を切り捨て、従業員側にとって不利益にならない方法を選択します。

遅刻・早退の控除額の計算方法

日単位で控除する欠勤控除と異なり、遅刻・早退の場合、時間単位で控除します。この場合、雇用主は就業規則に応じて、1時間単位または1分単位で控除額を計算するのが一般的です。

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