物価高騰に合わせた企業の賃金の対応について。インフレ手当?ベースアップ?定期昇給?

2023.02.21

就業規則

 
松林 大樹 コステム社会保険労務士事務所 代表

社会保険労務士・ PHP研究所認定チームコーチ。厚生労働省や都道府県等のホワイト企業認定マーク取得、㈱ワーク・ライフバランス認定「働き方見直しコンサルティング」、クラウド勤怠管理システム導入など採用力・定着力向上のための働きやすい職場環境づくりを支援している。講演実績としてアサヒビール(株)、コクヨ(株)、(株)デンソーセールス、農林水産省など。石川県金沢市のコステム社会保険労務士事務所の代表を務める。

近年、物価高騰が深刻な問題となっています。
そのため、企業に対して、賃金の対応が求められ、人手不足な状況が続く中、各企業が様々な形でその要求に対応しています。
この記事では、物価高騰に合わせた賃上げ施策として行われることが多い「インフレ手当」「ベースアップ」「定期昇給」について、それぞれの仕組みと企業側のメリット・デメリットを詳しく解説します。
今回の記事を通して、物価高騰の対応として賃金の対応を行う企業様にとって、参考になる情報を得ることができれば幸いです。

【 目 次 】

  1. 物価高騰に合わせた賃上げ施策について
  2. 各施策の企業側のメリット・デメリットとは?

物価高騰に合わせた賃上げ施策について

【ベースアップとは?】
全社員の給与水準を一律引き上げる制度で、基本給を一律〇%引き上げたり、賃金テーブル表そのものを書き換えたりする制度です。

例:
4年大卒22歳で入社。
ベースアップ前の年に入社した人の基本給:200,000円
ベースアップ5%昇給適用後の年に入社した人の基本給:210,000円

【定期昇給とは?】
社員の年齢や勤続年数などに応じて、会社で決めたルールに基づいて、昇給する制度です。

例:
4年大卒22歳で入社。
定期昇給前後の入社した月の、基本給は変わりません。

【インフレ手当とは?】
物価高騰対応のために、企業が支給する手当。
毎月支給する会社と、賞与と一緒に一時金で支給する会社とあります。

各施策の企業側のメリット・デメリットとは?

施策企業側のメリット企業側のデメリット
ベースアップ☑従業員の安心感・満足感

☑従業員のモチベーション向上

☑定着率向上
☑人件費負担増
定期昇給☑従業員の安心感・満足感

☑年齢や勤続年数によって、昇給額を調整できる。
☑年齢や勤続年数以外の成果を出している従業員の不満が出やすい。
インフレ手当(毎月)☑賞与や、退職金算定の基礎に基本給が連動している場合、手当とすることで、賞与や、退職金に影響が出ない。
☑人事評価に基づいて基本給などが決定していた場合、物価高騰による昇給分がわかりやすく納得感を得られやすい。

☑物価高騰が落ち着いた場合、手当をやめることが出来る可能性がある。
☑いつかなくなるのではないか、という従業員側の不安。
インフレ手当(一時金)☑一時的な支給のため、企業利益が出ていれば、先の事をあまり考える必要がなく、比較的多くの金額を分配しやすい。

☑一時金のため、将来的に企業負担が少なくなる可能性が高い。
☑次回、支給されるかわからないため、従業員の不安、不満が解消されにくい。

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