5日間の有給休暇取得義務とは?義務の対象従業員の条件、違反した場合の罰則、管理簿の作成まで
2023.02.10
有給休暇

有給休暇5日取得義務化とは、一定の条件に該当した従業員に、1年間で最低5日の有給休暇の取得を義務付ける国の法律です。
規模や種類を問わず、あらゆる企業に適用されます。
雇用主は、一定の条件に該当するすべての従業員に対して、少なくとも年間5労働日の有給休暇を与えなければなりません。今回は、義務化の対象従業員の範条件、違反した場合の罰則、効率よく管理運用するための方法まで解説します。
【 目 次 】
有給休暇の義務化とは?
年次有給休暇(以下、「有給休暇」とする。)は、労働基準法で定められた休暇のひとつで、会社を休んでもお給料を受け取れる休暇のことです。あらかじめ定められた規則や法律に基づいて発生し、正社員、パートタイマーなど雇用区分に関係なく、条件を満たせば付与されます。
有給休暇の義務化とは、一定の条件を満たす従業員に対して、年間5日以上取得することを会社に義務づけたものです。
義務化の対象は?パートタイマーも対象?
義務化の対象は、正社員、パートタイマーなど雇用区分に関係なく、年に10日以上新たに有給休暇が発生する従業員です。
下記の図の赤色の条件に当てはまる従業員です。
●正社員(フルタイム労働者)の場合
勤続年数 | 0.5年 | 1.5年 | 2.5年 | 3.5年 | 4.5年 | 5.5年 | 6.5年 |
有給日数 | 10日 | 11日 | 12日 | 14日 | 16日 | 18日 | 20日 |
●パートタイマーの場合

違反した場合の会社の罰則は?
5日間の有給休暇取得義務は国の法律であり、違反した企業は罰則を受けることになります。
会社が取得を命じたけれども、従業員がとれなかった場合も、会社が罰則の対象となります。
ただ、多くの場合では、いきなり罰則が適用されることはなく、労働基準監督署から是正勧告を受け、是正措置の報告を求められることが多いと思われます。
有給休暇管理簿とは?
有給休暇管理簿(以下、「管理簿」は、全従業員の有給休暇を記録するための書類で、管理簿の作成、保存が義務づけられました。
管理簿には、下記3項目の記載が必要です。
基準日 | 年に1回有給休暇が会社から従業員に付与された日 |
日数 | 基準日から1年間に従業員が取得した有給休暇の日数 |
時期 | 実際に有給休暇を取得した日(1日単位・半日単位のみ)※時間単位有給休暇は対象外 |
有給休暇管理の難しさ?
有給休暇管理の難しさは、
①基準日の管理‥入社日によって、基準日が変わるため、毎月管理が必要です。
②出勤率の算定‥出勤率の算定=出勤日数÷全労働日 で計算されます。
この出勤率が8割以上でないと、新たに有給休暇は付与されません。
会社を休んでいても、分子の出勤日数や分母の全労働日のカウントで欠勤とは異なる休業があります。
③繰越分の管理‥前年度から繰り越した分も含めて日数を管理する必要があります。現在残っている有給休暇のうち、何日が新たに発生した分で、何日が繰り越された分なのかを把握している必要があります。
④付与日数‥特にパートタイマーの場合、新たに付与する日数が何日なのか?を正確にカウントする必要があります。

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